中学生~大人の方の矯正
永久歯が生えそろってからの矯正治療
中学生~大人、つまり永久歯が生えそろってからの矯正治療です。乳歯が残っているうちの矯正を一期治療というのに対し、この時期の矯正治療のことを二期治療と言います。
基本的には、全ての歯にブラケット装置(角ばった溝を持った装置)をつけ、その溝の中にワイヤーをはめ込む方法(マルチブラケット法)で歯を動かしていきます。ワイヤーはちょうどカーテンレールのような役割をし、レールの上を歯が滑っていきます。個々の歯の位置、角度を徐々に整えていき、個々の歯を正しい位置に配列していきます。
症例
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叢生(ガタガタ)
「乱杭歯(らんぐいば)」「八重歯」とも呼ばれています。歯の大きさが大きかったり、顎の大きさ、歯が生えるスペースが足りずガタガタになる状態です。
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出っ歯
前歯の傾きにより目立つ人もいれば、そうでない人もいます。上顎前突には「上のアゴが出ている」上顎前突症と「下のアゴが引っ込んでいる」下顎後退症があり、2種類のタイプが存在します。
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開咬(かいこう)
普通に噛んでも奥歯の数本しか噛むことができず、前歯が噛み合わない状態の噛み合わせです。舌の癖、指シャブリさらに口呼吸などが原因ともいわれています。
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反対咬合(はんたいこうごう)
「受け口」とも呼ばれています。下の前歯あるいは下顎全体が前に出ている状態で、できるだけ早くに治療を開始する必要があります。
使用する装置
ラビアルブラケット(表側からの矯正治療)
歯の表側にブラケット装置を貼り付け、その溝にワイヤーを通すことで歯を動かしていく方法です。
歯の表側に装置がついているため、笑うと装置が見えます。ブラケット装置は開発当初は金属製のもの(メタルブラケット)しかあませんでしたが、現在では見た目をよくするために、前歯部には歯の色のブラケット(ホワイトブラケット)装置を用いることが多く、さらに審美性を気にされる方には、白色の目立ちにくいワイヤー(ホワイトワイヤー)を用いることもあります。
メリット
- コストパフォーマンスに優れている。
- 発音に対する影響や舌の痛みがほとんどない。
デメリット
- リンガルブラケット法に比べて、目立ちやすい。
ラビアルブラケットの種類
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①メタルブラケット
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②ホワイトブラケット
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③ホワイトブラケット+審美ワイヤー
リンガルブラケット(裏側からの矯正)
歯の裏側にブラケット装置を貼り付け、その溝にワイヤーを通すことで歯を動かしていく方法です。
歯の表側に比べて歯の裏側は個性が強く、様々な形態をしているため、ブラケット装置は基本、オーダーメイドになります。
歯の裏側に装置がつくため、笑ってもほとんど見えません。ラビアル(表側装置)と比べると違和感が強いという欠点がありましたが、最近のブラケットはかなり小さくなり、違和感が相当に軽減されました。矯正装置が見えるのが気になって、治療を躊躇されていた方にお勧めします。
メリット
- 表から見えない。(審美的に優れている。)
- 歯の裏側は虫歯になりにくい特性があり、表側装置より虫歯になりにくい。
- 舌癖(自然に舌で歯を押したり、舌を前に出す癖)が改善しやすい。
デメリット
- 他の装置に比べてやや治療費が高い。
- 慣れるまで違和感を感じたり、発音がしにくい場合がある。
- ブラッシングがしづらい。
- ラビアルブラケットに比べて歯に力が伝わりにくいため、症例によっては難しい場合がある。
ハーフリンガル(上:裏側からの矯正 下:表側からの矯正)
表側矯正と裏側矯正とを併用した治療。下の歯を表側矯正にする理由は、一般的に、笑った時や会話中などは、下の歯に付けた矯正装置はあまり目立たないからです。上下ともリンガル(裏側装置)で治療するより違和感も少なく、費用も抑えられます。
メリット
- 通常のリンガル(裏側装置)に比べて費用が抑えられる。
デメリット
- 慣れるまで違和感を感じたり、発音がしにくい場合がある。
- ブラッシングがややしづらい。
- 下の歯の装置が見える。
矯正用アンカースクリュー
矯正用アンカースクリューは歯肉の上から顎の骨に植立する小さなスクリューで、あごの骨に埋め込むことであごの骨ととしっかりと固定され、不動の固定源として、矯正治療に利用することができます。
例えば、奥歯の後ろに植立した矯正アンカースクリューと奥歯をしっかりと針金で結んで固定しておくことで、前歯に引っ張られても奥歯は前に来なくなるため、抜歯で得たスペースを無駄なく全て前歯を引っ込めることに使用できるようになります。
メリット
- より良好な治療結果が期待できる。
- ヘッドギア等の頭からかぶる装置を使用する必要がなくなる。
- 今まで困難であった不正咬合の治療が可能となる。
デメリット
- 簡単な外科処置が必要である。
- 脱落することがある。
- 歯の移動方向によっては再度植立しなおさなければ場合がある。
矯正用インプラントアンカー(アンカースクリュー)はどんな時に必要?
• 前歯の突出や凸凹がひどい。
• 頭からかぶる装置を使いたくない。
• より良好な治療結果にしたい。
• 奥歯を大きく移動させる必要がある。
• 左右の奥歯の位置がずれている。